2007 年 42.3 巻 p. 247-252
本稿の目的は、意思決定権限及び財源を委譲している自治体コミュニティ政策を対象として、施策内容と地域住民自治組織による権限及び財源行使の運用実態を把握することで課題を明らかにすることである。近年地方分権が促進されるなかで都市内分権の文脈から地域を代表する組織が重要な論点となっている。また多様な主体によるまちづくりが積極的に展開され、意思決定や事業の実施(1)を担う地域の包括的組織の役割とともに、これら多主体による活動を如何に連携させ、地域全体としてのまちづくりを展開するかが重要となっている。1970年代に開始されたコミュニティ施策もこの時代の流れのなかで、多様な主体の参加による「自治的コミュニティ」の確立を重視する時代を迎えた。先進的な自治体では住民への権限委譲を含めた施策を展開している。本稿では、この権限委譲施策を対象として、地域住民自治組織へ委譲される意思決定権限及び財源と、それらを行使するプロセスに着目し、課題を明らかにする。