大都市圏周縁部には農地が多く存在しており、地域環境の維持向上に貢献する多面的機能を有している。そして景観機能からの農地の評価は、それらを計画的に保全する上での一つの根拠ともなりうる。農地景観評価に一般的に用いられる面積等の指標は、農地と他要素との空間的関係や実際の農地の可視性など、実際にその場所に立つことで感じられるミクロなスケールの把握は十分に出来ない。そのため、現在の大都市圏周縁部における農地景観が、農地の他用途への転換により変貌してきたことに着目し、農地転用の際に形成される農地と隣接土地利用とのエッジラインの特性を分析することで、農地景観の特徴を把握し、農地保全に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。形成年代、隣接土地利用、実際の農地の可視性などの違いにより抽出した、様々な特徴を持つエッジラインを分析することで、農地面積の増減では把握しにくい、小規模農地の景観価値の評価等を行うことができた。これらのデータから、市街地との空間的関係や景観機能を考慮しながら、地域環境の維持向上のために優先的に守るべき農地の検討ができ、農地の多面的機能に基づく保全計画の作成に資することもできる。