2008 年 43.3 巻 p. 109-114
本研究の目的は、新経済地理学の枠組みに基づく多都市・多産業の Core-Peripheryモデルにおいて実現する均衡人口配分パターンを明らかにすることである。そのために、まず、Forslid and Ottaviano(2003)の工業部門1産業からなる一般均衡モデルを、労働者が都市選択を行う多産業経済の枠組みに拡張した。そして、計算分岐理論に基づく数値計算によって、パラメータ(輸送費用)変化に関する均衡解の分岐パターンを解析した。その結果、都市・産業の集積パターンに関して以下の2つの定性的な規則性が成立することが示された:1) 輸送費用の減少とともに均衡人口パターンは、分散→集積→分散という分岐パターンを示す。2) 人口集積が最大となる都市では代替弾力性の低い産業への特化、その他の都市では代替弾力性の高い産業への特化がおこる。