2008 年 43.3 巻 p. 295-300
日本の市町村の数は、近年の市町村合併の進展に伴い3232から約1790まで減少した。一つの市町村に異なる土地利用規制が混在するという問題が、市町村数の減少によってもたらされた。都市計画区域は都道府県が指定する。しかし、都市計画を主体的に実施する市町村の都市計画区域の再編に関する意向は、都道府県の決定に影響を及ぼすと考えられる。そこで本研究では、市町村合併により都市計画区域の再編の必要性が生じたと考えられる全国109自治体を抽出しアンケート調査を実施した。過半数の自治体が都市計画区域の統合や拡大といった再編を考えているが、具体的な再編方法の決定にまで至っていない自治体も多いことが明らかとなった。また都市計画区域の再編を考える自治体は、多くの障害を認識していることも明らかとなった。本研究の目的は、都市計画区域の再編の課題を考察し、今後の都市計画再編の議論への示唆を与えることである。