2008 年 43.3 巻 p. 67-72
本研究は、中心商業地域における商業立地と駐車場の関係を、リアルオプション理論に基づき、将来の不確実性の影響を加味してモデル化した上で、都市において顕著な現象となっている商業と駐車場の立地転換のメカニズムを、数値シミュレーションにより分析した。その結果、来訪者の成長率が大きければ、空間制約が影響することと参入オプション価値が増大することにより、必ずしも商業立地が増加するわけではなく、むしろ駐車場が増加する可能性があることを明らかにした。また、経済環境の不確実性が大きければ、参入オプション価値の上昇による立地転換閾値の上昇と、不動産価値分布の標準偏差の増大が起こり、駐車場が増加しやすくなる可能性があることを明らかにした。