抄録
富山市・静岡市・金沢市などの都市では、複数の駐車場で共通に利用でき、一定時間の利用は無料になる駐車券を発行し駐車場の利便性を高めようとする駐車場共同利用システムを稼動させている。本稿は、平成17年7月から宮崎市で行われている駐車場共同利用システム社会実験を題材として駐車場共同利用システムの関係者の利害関係の実態把握と、その調整上の課題を調査・分析したものである。駐車場共同利用システムの関係者である商業者・駐車場経営者・消費者へのアンケート調査・分析から、1)商業者と駐車場経営者の費用負担に関わる利害の相反が一番大きい、2)一方で関係者の大半はお互いの負担金額を妥当であると判断していることから調整できる可能性が高い、3)行政は市民への広報の役割を分担することが適当であること等を明らかにしている。