都市計画論文集
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再統一後のベルリンにおける都心改造に関する研究
「都心改造マスタープランPlanwerk Innenstadt」を巡る議論とプロジェクトの実現に注目して
太田 尚孝大村 謙二郎有田 智一藤井 さやか
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 45.3 巻 p. 109-114

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抄録

本研究の目的は、再統一後のベルリンにおける都心改造のマスタープランである「都心改造MP(独:Planwerk Innenstadt)」を巡る主体間の議論とこれに応じて実施されたプロジェクトを分析し、都心改造を巡る議論の構図と現状の都市計画的課題を明らかにすることである。本研究の分析は包括的な文献調査とキーパーソンへのヒアリング調査にしたがう。本研究から明らかになったのは以下の3点である。1)ベルリンの壁崩壊直後の開発バブルが崩壊したベルリンでは、1990年代後半から東側の都心改造を巡る議論が展開された。これは、都市のアイデンティティと自治体行政トップのプランナーの在り方を巡る議論にもつながった。2)「都心改造MP」は、西側が東側の都心部を改造するという政治的イデオロギーをも反映していた。しかし、再統一から20年過ぎた現在でもこのような論理が通用するかは疑問である。3)「都心改造MP」を具現化したタウンハウスは、社会的な公平性が欠けていた。今後、形態的な面だけではなく、社会性もベルリンの都心改造には重要なテーマとなりうる。

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© 2010 公益社団法人 日本都市計画学会
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