都市計画論文集
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PT調査データを用いた交通行動による身体活動量に関する研究
孔 慶月近藤 光男奥嶋 政嗣
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 45.3 巻 p. 151-156

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抄録

交通手段の発達により身体活動量が低下し、生活習慣病増加の一因であると思われる。また、地域環境が身体活動量に影響を及ぼすことが明らかにされている。ゆえに、身体活動の促進策を考える際に、身体活動量の現状および身体活動量と地域の特徴を見据えることは重要であると考えられる。本研究は、糖尿病による死亡率が14年連続で全国1位である徳島県に着目し、1983年と2000年に徳島広域都市圏で実施されたPT調査のデータを用いて、住民の交通行動による身体活動量を明らかにするとともに、地域特性と身体活動量との関係を考察することを目的として分析を行った。その結果、1983年に比べ2000年では、徒歩および自転車による地域住民全体の身体活動量の平均的な値は約半分となっている。とりわけ、バス非利用者の徒歩および自転車による身体活動量の低下が著しい。交通行動による身体活動量が推奨身体活動量に占める割合は、1983年に比べ2000年では大きく低下した。2000年において、バス利用者の方が約5割であり、バス非利用者の2.5倍以上の値となっている。バス利便性の高い地区においては、身体活動量が高い傾向を示している。

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© 2010 公益社団法人 日本都市計画学会
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