2010 年 45.3 巻 p. 685-690
本研究は、開発許可条例(主に都市計画法34条11号)を制定・運用している57市を対象として、その導入効果と課題を明らかにすることを目的とする。自治体担当者の見方としては、市街化調整区域内集落の維持や衰退防止をねらいとして導入したが、充分な効果があったとはみなされていない。一方で、開発許可条例が調整区域における土地利用の方向性や方針を示すことに効果があったと評価されている。開発許可条例は内容が自治体によって多様であるが、対象区域指定と許可用途からその規制レベルを分類することができる。そしてその規制レベルと条例導入による開発動向への影響には密接な関係がある。特に対象区域指定の緩和は許可用途の緩和よりも影響度が大きい傾向が見られる。この双方を緩和している自治体では、市街化調整区域における土地利用の戦略的なねらいが緩和の理由にあるものの、スプロール的開発が進行している事例が見られる。