わが国では地方都市を中心に自動車依存型社会が形成され、様々な問題をもたらした。持続可能な社会の実現を目指し、公共交通指向型の都市構造への回帰が求められている。本稿では、成長管理政策を行ってきたオレゴン州の3都市圏を対象に、TOD実現のための課題を明らかにすることを目的とする。結論として、メトロ地域以外では広域土地利用計画策定主体が存在せず、主体間の連携が難しくなっていることが明らかとなった。また、対象都市圏では、州の方針に基づき、基礎自治体が土地利用計画の中にTODを位置づけていること、PayrollTax等、運賃以外の収入を原資として利便性の高い公共交通サービスが提供されていること、基礎自治体間の方向性の違いが生じているケースがあることが明らかになった。今後のTOD実現に向け、自治体の方向の共有化や支援制度等の検討が望まれる。