抄録
近年の景観問題の多くは、景観に抱く保全便益が曖昧なため、開発することで得られる開発便益と比較し難いことや、景観損害を受ける範囲の広さ、損失される景観の価値の大きさが明確に求められていないことが原因として挙げられる。そこで本研究では、住居地域における眺望景観の価値の定量的な評価を行うために、宮島対岸地域の住居地域において3D-GISを用いた見通し領域解析に基づいて調査対象を設定し、住民の意識調査データを収集した。そして、順序ロジスティック回帰モデル分析によって眺望景観を考慮した住宅購入価格モデルの構築を行った。その結果、3D-GISによる見通し領域解析を用いることによって、宮島を視対象とした住居地域を適切に選定することができ、様々な眺望条件を含むサンプルの収集を行うことができた。そして、住民の景観意識の実情を明らかにすることができた。また、住宅購入価格モデルを構築することによって、眺望景観が住宅購入価格に影響していることを示唆することができたほか、眺望景観の変化に伴う価値の変化を定量的に評価できる可能性を示すことができた。