都市計画論文集
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1910年代以降の観光事業が中国杭州西湖風景名勝区の文化的景観に与えた影響に関する研究
石 鼎石川 幹子片桐 由希子
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2011 年 46 巻 3 号 p. 619-624

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抄録

本研究では、近代観光事業が1910年代に導入されてから今までおよそ100年間に西湖風景名勝区における文化的景観に与えた影響について検討を行った。杭州西湖は中国の代表的な文化的景観地である一方、古来の文人の行楽地として広く知られている。近代観光事業が導入後に行われた風景の整備、観光施設の建設、新しい観光スポットの開発などによって、もとの景観が大きく変貌させた。本研究によって以下の点が明らかになった。第一に、近代観光事業が西湖風景再生の主な原因である。第二に、その影響は100年間を経て次第に西湖から里山における茶畑や農村集落に広がっている。第三に、「西湖十景」を始め、風景の代表である観光景点は整備工事で復旧、補強されることによって、西湖の文化的景観の特質や核心価値は継承されている。

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© 2011 公益社団法人 日本都市計画学会
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