都市計画論文集
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1950年代の大阪府茨木市における「田園都市論」と「近隣住区論」に基づく都市計画の取組に関する研究
中沢一夫の活動と業績
大塚 康央
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2011 年 46 巻 3 号 p. 679-684

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抄録

本研究は、1950年代における大阪府茨木市における都市計画の取り組みから、都市財政の困難の中で、健全な都市経営を目標に取り組んだ中沢一夫の活動と業績を明らかにすることで、先駆的な活動の背景と現代に通じる意義を考察したものである。中沢一夫は、茨木市職員となって以降、大都市近郊である茨木市の都市計画の中心的な役割を果たし、「田園都市論」を市広報で市民に紹介するとともに、「田園都市論」と「近隣住区論」をベースに都市計画行政を進めていた。その背景には、中沢の田園都市論解釈に基づく逼迫する市財政を踏まえた工場等の誘致、自立的な都市経営などの考え方が存在した。また、当時としては先駆的な都市のマスタープランを作成し、そこに近隣住区論の考え方を取り入れるなどしていたところである。この取り組みは、住民等が責任をもって都市を経営するという今日的な課題に共通することでもあることを示した。

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© 2011 公益社団法人 日本都市計画学会
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