抄録
本論では、東京都日野市の生産緑地指定地に関するデータを用いて、その理論的解除率を推計し、それら推計値について周辺土地利用状況から妥当性を評価した。町丁目毎の解除率については、階層ベイズに基づく事後分布からマルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション(MCMC)により算出した。算出された理論的な解除率について、土地利用との関連性を検証するために重回帰分析を行った。目的変数としてシミュレーションより求められた理論的解除率と観測値による解除率を用いた。説明変数として、24種類の土地利用データを用いた。結果として、理論的解除率を目的変数としたケースについて有意性が認められた。観測値による解除率では有意性が認められなかった点を考えると、階層ベイズにより個々のデータが持つ特異性を調整することができ、結果として科学的検証に耐えうる値を得ることができたと考える。