都市計画論文集
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高齢者・非高齢者別にみた生活関連施設へのアクセシビリティの評価に関する研究
-滋賀県東近江市を対象として
寺山 一輝小谷 通泰秋田 直也
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 48 巻 3 号 p. 171-176

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抄録

本研究は、滋賀県東近江市域を対象に実施した、居住者へのアンケート調査結果をもとに、まず日常的な買い物・通院交通における目的地の選択モデルを、非集計行動モデルを用いて構築した。そして、この選択モデルのログサムを算出することにより居住地ごとに高齢者・非高齢者別に目的地へのアクセシビリティを求め、対象地域内における問題地区を明らかにした。この結果、いずれの移動目的でも良好な精度で選択モデルを構築することができ、高齢者は非高齢者よりも移動距離に対する抵抗感が大きいことを示した。そして、居住地ごとに年齢別のアクセシビリティを比較すると、買い物については、商業施設が集積しているDID地区内では高齢者と非高齢者で類似した値を示しており、DID地区外では高齢者のアクセシビリティの減少幅が非高齢者に比べて大きくなっていた。通院についてはいずれの居住地でも高齢者のアクセシビリティは非高齢者よりも低く、特に拠点病院までのバス路線が存在しない居住地でその差が顕著であった。さらに、移動目的ごとの高齢者のアクセシビリティと高齢化率を居住地ごとに重ね合わせることにより問題地区とその深刻度を把握できた。

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© 2013 公益社団法人 日本都市計画学会
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