都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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日本におけるアートプロジェクトの実態と主催者の意識構造
コミュニティ側とアート側の意見に注目して
中村 有理沙土肥 真人
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 48 巻 3 号 p. 237-242

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抄録

アートプロジェクト(以下AP)と呼ばれる街を舞台にするアート活動が90年代後半から増加しており、コミュニティとアートは協働している。しかしコミュニティとアートは性質を異にするものであり、前者はルールや秩序を、後者は自由でアヴァンギャルドな存在である。相互の差異に基づく協働が起きているAPを対象に、1.日本のAP実態を全体として把握し、2.APに関わるコミュニティ側とアート側の人々の意識構造を明らかにすることを本研究の目的とする。2章ではAPの歴史的展開を追い、APを「コミュニティと関係を持ちながら実施される現代アート活動」と定義づけた。3章では研究対象とした278APの基礎的傾向を示し、4章ではコミュニティ側とアート側の意見に注目してAPに関する意見構造図を作成・分析した。その結果、意見全体として「APはまち/地域及びアートの側に変化を起こし現代社会に働きかける」と認識されており、中でもAPが人々の関係を構築することが重要であることが分かった。また特にコミュニティ側は現状や課題を問いかけることをアート側に、アート側は表現の対象・仲間・場をコミュニティ側に求めていると考察された。

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© 2013 公益社団法人 日本都市計画学会
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