2013 年 48 巻 3 号 p. 249-254
まちづくりの小集団の会議から、どのような話し合いが行われ、どのような課題が成員の共有課題となったのかを把握するには、その会議録から調べることは有効な手法である。しかしながら、数カ月から数年にわたるような継続的な会議録の中からそれを知るには、膨大な資料を読み解くことが必要となり、その調査員の職人芸的な力量に依拠してしまうことが多い。そこで本研究では、会議における成員の発言の回数の単位である「ターン」に着目することで、その作業をより形式的かつ効率的に行うことができることを提示したい。すなわち本論では、長期間にわたる継続的な会議における各成員のターンの割合から、最もターンの割合の多かった人物の意見を抽出して見ることで、その会議の課題の内容を把握できることや、ターン割合の変化点を境にして期間を区切ってみると、その期間ごとに小集団にとっての課題が抽出できるのみならず、文脈的な流れが把握できることを明らかにしたい。