2013 年 48 巻 3 号 p. 903-908
本研究は地域内距離を用いて地域のコンパクト性を計測する.地域がコンパクトにまとまっていることによる利点は,これまでさまざまな立場から述べられてきた.地域がコンパクトであること,または「コンパクトシティ」とは,少ない土地面積に人口と都市機能が集中し,人々が短い移動距離で生活できる地域となっている地域のことを指す.本研究は,人口分布から地域のコンパクト性を計測する単純な手法を提案し,その経年変化から地域別のコンパクト化あるいはスプロール化傾向について考察する.コンパクト性を計測する手段として,地域をメッシュあるいは町丁目などの小地域に分割し,人口重みつき平均距離を使用して,地域のコンパクト性を計測する.事例として,1995年から2010年までの千葉県と山形県の市町村のコンパクト性の変化を計測し,人口減少地域において,周辺部の人口減少によって地域全体がコンパクト化している場合があることを明らかにした.