2015 年 50 巻 2 号 p. 195-201
本研究は、I.ドイツにおける「都市モニタリングStadtmonitoring」の発展経緯と整備状況に関するマクロ分析、II.ケース都市における評価手法・運営体制・政策展開との関係性等の実態把握、を通してドイツの「都市モニタリング」に関する運用実態と課題を明らかにすることを目的とした。結果として、以下の2点が明らかになった。1)ドイツの大都市では都市内部の小地域単位の発展動向を全市的観点から把握する手法が導入され始めており、先進的なハンブルク市では政策実行の一つの判断基準になっている。一方で、ハンブルク市であっても政策のPDCAには活用されていない。2)モニタリングの結果の解釈はその精度や限界も踏まえながら慎重に行うべきであり、実施側と市民側とのコミュニケーションの取り方がきわめて重要である。