都市計画論文集
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住戸配置の規則性がパーソナルスペースの認識と居住空間の親しみに与える影響についての分析
楊 輝彦石川 徹
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 50 巻 3 号 p. 303-308

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抄録

本研究は、住戸配置の規則性が、パーソナルスペースの認識と親しみの心理的評価に与える影響を実証的に調べた。移動と回転の程度を変えて作り出した9つの住戸配置パターンを60人の回答者に見てもらい、各住戸配置のわかりやすさ、パーソナルスペース領域、親しみについて答えてもらった。回転が加わった住戸配置では、回転が加わっていない配置にくらべて、わかりやすさ、パーソナルスペース面積、親しみが低下することが示された。平面移動については、小さい程度の移動が加わった配置では、わかりやすさとパーソナルスペース面積が小さくなる一方、親しみはさほど低下しないことがわかった。さらに、上記指標の共分散構造分析から、平面移動のみが加わった配置においては、パーソナルスペースと認識する面積が増えると、親しみが高まる傾向が明らかになった。また、回転を加えた住戸配置では、わかりやすさの面では評価が低くなるものの、位置的により多様なパーソナルスペース認識を促すことで、公に属する領域という意識を通して親しみを高めうることが示された。これらの結果に基づき、地域への親しみとコミュニティ意識を高めるまちづくりへの示唆を議論した。

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© 2015 公益社団法人 日本都市計画学会
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