2015 年 50 巻 3 号 p. 358-364
日本の地方鉄道では,列車の運行間隔が不均一である,列車到着の数分前に列車が発車してしまうために乗換に長時間を要する,といったようにダイヤが不便なまま今日に至っている路線が多い.ダイヤの改善は少ない投資で利便性を向上させることができる手段であり,特に地方鉄道においては所要時間の大部分を占める待ち時間を短縮することが効果的であると考えられる.そこで本研究では,地方鉄道の一例として北近畿タンゴ鉄道を対象に,所要時間を構成する待ち時間を「先着便待ち時間」,「総乗換時間」,「停車中の車内待ち時間」の3つに分類しダイヤを詳細に分析した.分析で得られた知見を基に「先着便待ち時間」「総乗換時間」「利用者が多い区間の待ち時間」という3つの待ち時間の短縮に資するダイヤ変更案を作成し,総期待一般化費用を用いて評価した.その結果,KTRにおいては特に先着便待ち時間を短縮するようにダイヤを変更することで,オペレーションコストを6.9千円/日(0.36%)減少させたうえで総期待一般化費用を326.5千円/日(2.24%)減少させ,合計で333.4千円/日(2.24%)費用を減少させることが可能であることを示した.