2015 年 50 巻 3 号 p. 904-911
都市再生特別地区の公共貢献が実態としての公共性を確保するためには、都市再生特別地区の指定・運用に関連した多主体による参加が必要不可欠と考えられる。本研究では公共貢献の検討のために多様な主体によって構成された協議組織が設置された御茶ノ水駅周辺地域、渋谷駅周辺地域、および銀座地域を対象として、公共貢献がどのようにして検討されているかを関係者へのインタビュー調査や文献調査から明らかにした。調査からは、都市再生特別地区の指定を行うにあたって法的手続き以外にも4つのステップを経ていることが明らかになった。まず、公共貢献を誘導するためのプランの策定を行っている。次に事業者が作成した公共貢献の案について協議組織において意見調整が行われている。さらに、複数の事業者が公共貢献の連携のために協議が行われている。最後に都市計画決定後も公共貢献の詳細な内容について意見調整が行われている。