2016 年 51 巻 3 号 p. 380-386
幼少期の思い出や経験、体験は一般的にその後の生き方に影響を及ぼすものとされている。商業地を指向させる上でもその重要性が示されつつある幼少期の思い出は、都心商業地と郊外型SCの競合が生じている昨今での商業地の選好意識を理解する上でも重要と考えられる。そこで本研究では、幼少期における都心ならびに郊外型SCでのポジティブな思い出およびネガティブな思い出について調査しその実態を明らかにした後、それら思い出と商業地の選好意識との関係を明らかにした。その結果、それぞれにおける関わりの実態や今も記憶に残っているポジティブな思い出およびネガティブな思い出を把握できている。そして、都心で遊ぶといった楽しい経験が思い出になく、さらに都心で退屈な時間を過ごした経験や怒られるといった経験が今なお記憶として残っていることが、都心ではなく郊外型SCを選好させる要因になり得ることを明らかにできている。