2016 年 51 巻 3 号 p. 507-512
本研究では,まず,撮影された写真画像の位置情報と写真画像に対するコメントに加え,方位と仰角を取得することができるシステムを開発した.また,18名の留学生を被験者とし,被験者を各観光地まで案内して,そこから各自自由に観光しながら撮影をしてもらう実験を行った.さらに,写真画像ごとのコメントを記述してもらい,言語と写真画像の両方のデータを取得することで,観光客の関心対象をより詳細に把握することを試みた.結果として,仰角データの活用により,観光客の撮影する関心対象を絞り込むことが可能となることが示された.仰角の高い関心対象は高層の建物が多く,写真画像の撮影位置とは離れた対象である場合があることが明らかとなった.また,仰角の低い関心対象には買い物や食べ物に関わることが多いことも示された.さらに,言語データと写真画像の位置・方位・仰角データを組み合わせることで,言語データのみからでは生じてしまう関心対象の地理的不一致を修正することが可能となり,観光客の関心対象をより詳細に把握できることを示した.