2016 年 51 巻 3 号 p. 519-524
東日本大震災以降、防災性の観点から自立分散型エネルギーシステムの導入数が急激に増加している。またCOP21を受け、地方自治体は二酸化炭素排出量削減に本格的に取り組む必要性に迫られている。しかしながら、環境性や防災性に優れたエネルギーシステムが必要といえども、地方自治体にとってどのように目標を達成するかは不透明である。そこで本研究は、低炭素で持続可能な市街地形成に向けた目標達成のために必要な開発手法のあり方について明らかにすることを目的とする。本研究ではまず、札幌市におけるエネルギー計画および環境性・社会経済性評価を見ることで都心部におけるエネルギーシステム整備の必要性を明らかにする。次に、都心部の地域特性評価を行なった上で、低炭素で自立可能なエネルギーシステム構築に有効である地域冷暖房システム導入の考え方について議論し、低炭素で自立可能な都心づくりに向けて環境性・採算性の観点から数値目標を明らかにする。最後に環境性・採算性の目標達成に向けて行政が取り組むべき施策とその方向性をバックキャスティング手法によって明らかにするものである。