都市計画論文集
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臨海部の中高層市街地における風通し改善モデルの提案
横浜市関外地区を対象とした風環境数値シミュレーションによる分析
佐々木 優横山 真松尾 薫田中 貴宏佐土原 聡
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 51 巻 3 号 p. 589-595

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抄録

地球温暖化、都市ヒートアイランドに伴う都市高温化対策として、風通しの活用が有効とされている。そこで本研究では、建物の建替え更新時期が近づいている横浜市関外地区を対象にCFDによる風環境の数値計算を行い、風通し改善に向けた市街地形態を提案することを目的とした。得られた結果を以下に記す。 (1)風速比と市街地形態の重回帰分析の結果、道路方位に依らず、高層建物面積率が風速比に与える影響が大きい。また、上空風と平行する道路においては、道路幅員が風速比に与える影響が大きい。 (2)風通し改善を行う上で、上空風向と平行する道路の幅員を拡幅するモデル(現状幅員の30%)よりも、総合設計制度の利用による建物の高層化するモデルの方が、風通しの改善効果は大きい。 (3)総合設計制度による建物の高層化を、すべての街区に適用したモデルと千鳥配置にしたモデルでは、同程度の風速比改善効果が得られる。総合設計制度を一律に適用する困難さを考慮すると、まずは千鳥配置が最も効率的な改善モデルである。

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© 2016 公益社団法人 日本都市計画学会
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