都市計画論文集
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我が国における工場一斉公開プログラム「オープンファクトリー」の開催動向と可能性
岡村 祐豊田 純子川原 晋野原 卓
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 51 巻 3 号 p. 619-626

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抄録

本研究では、期間限定で地域内の複数工場を一斉公開するイベントと定義される「オープンファクトリー」に着目し、その到達点や可能性を論じた。まず、台東、大田、墨田、燕三条等の8事例を抽出し、「オープンファクトリー」導入の背景には、(1)クリエイティブな環境の創出、(2)モノづくりと住まいの関係の再構築、(3)モノづくりを基盤とした地域ブランディングという地域課題があり、イベントの発意には、デザインやまちづくり等の地域外の専門家の関与があることを究明した。次に、工場の一斉公開と各種企画の組み合わせで構成される「オープンファクトリー」には、イベントとしての地域展開性や時限性を活かし、(1)地域内の回遊促進、(2)モノづくりと他要素の連携、(3)モノづくり資源の集約・ネットワーク化、(4)製品開発や空間利用の実証実験、(5)製品の販売促進を目指した企画が提供されていることを示し、「工業振興」、「住工共生」、「地域振興」の3つの目的を見出した。最後に、「オープンファクトリー」が各地で定着し、イベントを契機に新たな動きが生まれている状況を踏まえ、モノづくりのまちの活性化手法としての「オープンファクトリー」の可能性を指摘した。

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© 2016 公益社団法人 日本都市計画学会
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