2016 年 51 巻 3 号 p. 649-654
近年,通学中の子供に自動車が衝突する重大事故が相次いで発生している.このような現状を受けて,文部科学省・国土交通省・警察庁による通学路の緊急合同点検が行われ,様々な安全対策が実施された.しかし,対策の成果ははっきりと現れていないことから,通学路における子供の事故実態を明らかにし,効果的な安全対策を検討する必要がある.そこで,本研究では宇都宮市における通学路のGISデータを作成し,通学路と通学路外で発生した子供の交通事故の比較分析を行った.分析の結果,通学路と通学路外では事故の内容に差異はみられなかったが,子供の違反は道路形状に依存すること,通学路では運転手が低速で行動中に事故が多発していることが明らかになった.