本研究の目的は、東日本大震災において被災した沿岸自治体における、開発許可の立地動向を調査することによって、震災後の被災市街地のマクロレベルの空間形成についての実態と課題を明らかにすることである。本研究の結論として、大きく以下の三つの点が指摘できる。一つ目は、線引きされた地域においては、市街化調整区域での開発は一定程度抑制されているということ。二つ目は、非線引きのリアス海岸地域においては、市街地や漁村集落部が大きく被災したことから、行政主体のみなし許可による開発が主となっていること。三つ目は、非線引きの平野部地域については、震災後に農地を中心に既成市街地外部で大規模な開発が起こっているということである。