都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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ベトナム・ハノイ旧市街の町並み保全の仕組み・取組の変遷に関する研究
動的な無形要素のとらえ方の発展に着目して
柏原 沙織藤岡 麻理子鈴木 伸治窪田 亜矢西村 幸夫
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2017 年 52 巻 3 号 p. 1218-1225

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抄録

本研究はハノイ旧市街の1990年代~2010年代の町並み保全の枠組み(計画・規制)と取組(事業・調査・提案)における動的な無形要素の捉え方の発展に着目して展開を整理把握すること、取組と枠組みの相互の影響の分析・考察により、ハノイの町並み保全の到達点と課題を明らかにすることを目的とする。研究方法として、ハノイ旧市街のこれまでの計画・規制と事業の実施状況について文献調査を実施したほか、現地の行政機関、専門家、住民らへのヒアリングを行った。枠組みにおける無形要素への着目という視点で3期(1989~1998年、1999~2010年、2011年~現在)に分けて把握し、取組・枠組みの発展と相互作用、無形要素概念の拡張について検討した。その結果、ハノイ旧市街の町並み保全の到達点として、動的な無形要素を含めた保全開発規制の制定、動的な無形要素の振興型マネジメント施策の実践、地区の独自性強化に向けた個々の通りへの着目の3点、また課題として、規制における「無形文化遺産」の定義の明確化、動的な無形要素の保全・振興型マネジメント策の検討、住民にも達成可能なモデル事業の展開、職業の通りの再定義、コミュニティ参加方法の模索、の5点が見出された。

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© 2017 公益社団法人 日本都市計画学会
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