本研究は、縮小社会において重要な問題となる用途の混在について、利便性向上と居住環境に与える影響という観点から、各用途の立地に対する心理的評価を調べた。混在度の低い地域として世田谷区(1078人)と杉並区(1010人)、混在度の高い地域として台東区(599人)と墨田区(1021人)、また東京近郊の郊外都市として柏市(846人)を対象とし、住宅以外の用途立地による騒音と不特定者往来が居住評価に与える影響を調べるためのコンジョイント評価質問に回答してもらった。得られた結果から、公園、商店街、ショッピングセンター、コンビニ、病院のいずれの用途においても、心理的な効用評価に与える影響は、夜間騒音、家賃、昼間騒音、夜間往来、昼間往来の順に大きいことがわかった。商店街とコンビニについては、居住環境への影響がないという理想的な条件のもとでは、その利便性が高く評価され、特にファミリータイプの居住者が立地を望む傾向にある。また夜間の騒音が心理的効用の低下に与える影響は、家賃が地域相場の20%低下することの影響に比べて4倍に上ることが示された。最後に、今回の結果が縮小社会の都市計画に与える示唆を議論した。