2017 年 52 巻 3 号 p. 255-262
まちづくり三法の改正により、これまで郊外に出店していた大規模商業施設の中心市街地への出店が目立っている。本報告では、岡山市の中心市街地に新たにオープンした大規模商業施設(JR岡山駅から徒歩数分の位置)を対象として、中心市街地の歩行者通行量への影響を面的に把握した。分析の結果、例えば休日の場合、店舗種類やターゲット層が大規模商業施設と類似しているかどうかが、歩行者通行量の変化に大きな影響を与えていた。つまり、中心市街地に大規模商業施設が出店されても、ターゲット層の差別化が図られているエリアに対しては、その影響は大きくない。一方、岡山駅周辺と既存商店街周辺の(エリア間競争における)特徴の明確化等も影響して、来街者層がもともと多様であった既存商店街周辺において、来街者の高年齢化が進行するなどの課題も浮き彫りとなっている。