都市計画論文集
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戦災と長期接収を経た都市の復興過程に関する研究
横浜中心部における融資耐火建築群の初期形成
藤岡 泰寛
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キーワード: 戦災復興, 防火建築帯, 住宅
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 52 巻 3 号 p. 349-356

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抄録

本研究では戦災と長期接収を経験した横浜を対象として、耐火建築促進法下で進められた融資耐火建築群の初期形成過程を明らかとすることを目的としている。公文書館に移管された資料を中心に、公的セクターと民間セクターのそれぞれの立場から時系列に記録を整理し考察を加えた。その結果、早期復興を果たした背景要因として次のようなことが明らかとなった。1)まず、接収が長期化するなかで情勢が複雑化し、接収解除自体も長期化した。2)このため、防火建築帯の造成目標も短期間に何度も修正された。 3)特に1955年度には国庫補助金廃止の方針が示され、後に復活したもののこの年の民間建築は低調であった。 4)しかし、神奈川県住宅公社による公的住宅供給は補助金廃止の影響を受けず、民間セクターと公的セクターのそれぞれの特徴がみられた。 5)さらに、防火建築帯の指定範囲は戦前の都市計画を継承し発展させた形で構想されており、復興初期を特徴づけていた。

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© 2017 公益社団法人 日本都市計画学会
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