2017 年 52 巻 3 号 p. 399-406
本研究の目的は、人々の私事行動に着目して東京都区部における盛り場を抽出し、それらが都市において有する機能の分析や各盛り場の時系列比較を通じてその変遷を明らかにすることで、今日における盛り場の現況を明らかにすることである。本研究では、石川栄耀が提唱した盛り場の測定に用いる「場力」の研究を踏まえ、PT調査と事業所内従業員数を用いて現在の盛り場のポテンシャルを測定した。得られた知見は以下の通りである。(1)郊外部では物販・飲食・娯楽のバランスがとれた「総合型」の盛り場が多く、反対に都心部では物販・飲食のどちらかに特化した「同業種特化型」が多く分布している。(2)郊外部に立地する盛り場の多くは、徒歩もしくは自転車を利用する地元住民が利用者層の多くを占めるものの、現在は求心力が低下している兆候が見られる。(3)都心部に立地する31件の盛り場のうち、青山、上野、東池袋などの特化が進む盛り場がある一方、宇田川町や新宿、外神田などの業種の均質化の兆候が見られる盛り場が全体の3分の1を占めている。