都市計画論文集
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地域経済振興に係る圏域マネジメント組織と広域行政機構との関係性分析
イングランドにおける地域産業パートナーシップ政策と合同行政機構に着目して
関 恵子
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 52 巻 3 号 p. 502-507

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抄録

英国イングランドでは、2010年より複数の自治体に跨る地理的範囲を対象とした官民による圏域マネジメント組織LEPsが導入され、地域経済政策が展開されている。また同時に、合同行政機構の設置等による地方分権化が推進されており、両組織が連携することで、自立的な地域の発展を目指す枠組みの構築が目指されている。本研究では、LEPsの運営は地域の自主性が重視され個別性が高いことをふまえ、事例研究を通じて、圏域設定、意思決定、組織運営の比較検討により共通的な特性を示した。その結果、LEPs政策は、理事会を通じて地域内の意向を政策に反映出来る枠組みが構築されていること、運営の円滑化には自治体職員の積極的な関与が不可欠であることを示した。他方、合同行政機構については、中央政府と協議書「デボリューション・ディール」を交わして検討を進めている地方自治体・圏域が11と限定的な上、協議を離脱する自治体も発生しているという現状をふまえ、圏域毎の、地方自治構造や既往圏域政策の有無がもたらす影響について分析を行い、こうした連携は、機構設置に一定の有用性をもたらすものの行政機構の新設統合の難しさを示した。

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© 2017 公益社団法人 日本都市計画学会
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