2017 年 52 巻 3 号 p. 508-513
全国エリアマネジメントネットワークに集まったエリマネ組織は、複数年の活動実績があるところが多く、我が国において最も先進的なエリマネ活動が展開されている。本研究は、当ネットワークのエリマネ組織を対象にしたアンケート調査を通して組織が捉える課題を抽出し、抽出された課題とエリマネ組織の団体属性の関係性を考察した。研究の結果、「組織形態」、「主な収入源」、「公的空間等の活用」といった団体属性と個々の課題の関係性を示すことができた。様々な課題は繋がっており互いに作用していることが明らかとなり、先進的なエリマネ活動を展開している組織においても、安定的な財源確保や人材に関する課題に対して未だ解決の糸口が見えていないことが分かった。このような状況を鑑みると、エリマネ組織だけの努力ではどうにもならない状態に立ち至っている可能性があり、抜本的な制度の再構築が必要であると考えられる。近年のエリアマネジメントに関わる動向を踏まえ、(1)安定的な財源確保のための制度仕組みの構築、(2)連携によるエリアマネジメントの必要性という2点についてエリマネ組織の課題解決に向けた方策を示した。