2017 年 52 巻 3 号 p. 568-575
本研究では、けいはんなで行われたスマートコミュニティ実証実験地区を対象として、スマートコミュニティ実証実験の対象世帯と非対象世帯との、実証実験終了後の環境配慮行動を調査した。調査にあたり、「スマートコミュニティの対象世帯は、スマートコミュニティ以外の取り組みでも環境配慮意識が高く、積極的に環境配慮行動を取っている」、「スマートコミュニティ対象世帯は非対象世帯よりも積極的に環境配慮行動を取っているだけでなく、現状把握や情報収集、それを踏まえた「有効な環境配慮行動」を行っている」という2つの仮説を設定し、検証を行った。結果として、実証実験への参加は住民の各環境配慮行動の実施度に正の影響を与えていることが明らかとなったが、「年齢」や「世帯年収」などで比較すると、実証実験の参加が環境配慮行動に与える影響は小さいことがわかった。しかし、「世帯年収500万円未満」といった特定の属性を持つ世帯に限定してみると、実証実験への参加により施策の取り組みであった電力の最適利用に関する環境配慮行動を継続しているだけでなく、施策の取り組み以外の環境配慮行動についても積極的に実施している結果となった。