2017 年 52 巻 3 号 p. 833-840
本論文では、大都市圏向け統合モビリティサービスMetro-MaaSを提案し、利用意向調査によりMetro-MaaSの需要の特性を評価した。Mobility as a Service(略称MaaS)は、利用者が適材適所で交通サービスを組み合わせて使いやすくすることで、自家用車を保有し運転することの代替となりうるサービスを目指す概念であり、世界の各都市で導入に向けた検討が進んでいる。本研究ではMaaSの大都市圏への導入方法として、対象事業者数を抑制しつつ利用者の日常生活をカバーできる設計手法Metro-MaaSを提案し、その需要の特徴を評価した。Metro-MaaSは自動運転とは独立した概念だが、自動運転車を使用したオンデマンドバス等のサービスと既存公共交通を一体的に提供する方法としても活用可能である。調査結果の分析から、利用意向に影響がある個人属性や居住地、移動等の特徴を抽出し、その影響を評価した。その結果、「運転に対して少し不安がある人」「駅から自宅までの徒歩の所要時間が20分以上の人」「自家用車を2台保有している人」などが、サービスを利用したいと考える傾向が示された。