2018 年 53 巻 3 号 p. 386-391
少子高齢化と人口減少社会にある日本において、空き家問題は深刻である。古民家と呼ばれる歴史的な建物は、それらを好む一定程度の人がいる。一方で、古民家はほぼ存在せず、また、新築の建物を好む日本人の傾向を考慮すると、ある程度都市化された地域における空き家問題はより深刻である。本研究では、特に快活が困難である地方都市の中心地域周辺に着目し、ケーススタディ地域における空き家状況に関して、統計データとアンケートデータを用い現状把握を行った。さらに、モデルを構築することによって、地域の社会経済状況が空き家に及ぼす影響を定量的に明らかにした。これにより、空き家になってからの期間や外観からの判断、内部の状態との関連性が低いことを明らかにするとともに、家屋所有者の今後の意向も整理した。モデルについては、空き家の状態や数に対して、人口や商業、交通利便性などが及ぼす影響を定量的に明らかにした。