都市計画論文集
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震災時の帰宅行動と熱環境上のリスクに関する研究
もし311が発生したのが真夏だったら
劉 旭村上 暁信
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2019 年 54 巻 3 号 p. 1066-1071

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抄録

2011年3月11日に東日本大震災が発生し、震災直後の帰宅行動より、駅付近で大混乱が生じた。ヒートアイランド現象や地球温暖化の背景で、もし大規模な災害が真夏に発生して駅付近での大混雑が生じたら、多数の人が熱中症になる恐れがある。事前に対策を講じるため、本研究は熱環境シミュレーションと帰宅行動シミュレーションを行い、高人口密度地域の熱中症リスクを評価した。また、その結果を踏まえ、現存の都市の緑の計画手法に対する提案を行った。その結果、 熱中症リスクが非常に高くなる状況が観測されるとともに、熱環境上のリスクが高い場所が抽出された。また、歩行者が避難できないまま長時間、高い平均放射温度に暴露され続けることが観測できた。従って、多くの熱中症患者の発生が予想されることが示唆された。更に、リスクが高い場所の熱環境の特性、現存の緑と群衆発生状況を分析した結果、人が立ち入れないことと熱中症リスクを緩和するのに役立つ木陰を提供してないことから、熱中症リスクの低減に貢献していない都市緑地が存在することが示された。更に、得られた知見を踏まえて,既存の緑地の改修の方向性を提案した。

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© 日本都市計画学会
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