2019 年 54 巻 3 号 p. 1079-1085
平成24年施行の津波防災地域づくり法を受けて太平洋沿岸地域の津波浸水想定は大きく見直された.一方,地方では本格的な超高齢化・人口減少問題が深刻化しており,コンパクトかつ利便性の高い都市形成が急務とされている.そこで本研究では,津波ハザードマップの見直しにより中心市街地の広範囲の浸水が想定される高知市を対象とし,見直し前後の宅地の開発動向と居住選択意識の変化分析を行った.その結果,見直し前後で浸水リスクが低い場所の宅地開発件数と居住地選択時に津波ハザードマップを参考とする者の割合はそれぞれ増加したことが明らかとなった.さらに,将来転居意向があるものは,利便性や居住環境だけでなく,防災面の安全性を転居先の条件として求めていることがわかった.