本研究は、ライプツィヒの東西インナーシティで〈暫定緑地〉として整備された空間のうち、恒久利用に移行していないものの現況を調査し、管理主体の違いに着目してその特徴を分析した。その結果、民間の所有者が自ら管理する空間は、利用許諾協定の期間中は公益的な緑地として管理されるが、利用許諾協定が終了すると管理のインセンティブを失い、公益的な緑地として機能しなくなることが明らかになった。一方、空間管理を他者に委託する場合は、協定の有無にかかわらず状態がよく機能の多い空間となることで地区にポジティブな影響を与えるが、各受託者が都市農園や子供の遊び場などを様々な活動を行うため、空間の質や開放性は一様でなく、それぞれ異なるニーズや課題が発生することも明らかになった。これらを踏まえ、税制優遇や補助金などで空き地の所有者に対する空間の暫定的な緑地化を促すプログラムだけではなく、活動が芽吹き根付くよう促すことで、地区や都市の課題に戦略的に対処することが可能になると考えられる。