都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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保護者による子どもに対する行動規制と地域要因との関連
橋村 ちひろ雨宮 護畑 倫子島田 貴仁
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 54 巻 3 号 p. 421-428

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抄録

近年、子どもが犯罪や事故に巻き込まれることを心配する保護者によって、子どもの行動が規制される傾向にある。このことは、子どもが大人の付き添いなしで自由に行動する機会を減らし、子どもの発達に悪影響を及ぼすことが指摘されている。既存研究においては、こうした子どもへの行動規制には、子供や保護者の個人属性的要因とは別に、地域の環境要因が影響することが指摘されている。そこで、本研究は保護者による行動規制と地域要因との関連を明らかにすることを目的とした。本研究ではまず、探索的に行動規制の傾向を明らかにするために、小学生の子どもを持つ保護者16名に面接調査を行った。次に面接調査の結果を踏まえ、行動規制と地域要因との関連を定量的に明らかにすることを目的とし、神奈川県に住む小学生の子どもをもつ女性を対象に、ウェブアンケート調査を実施した。ウェブアンケート調査(n=440)に対する共分散構造分析の結果、都市性が低く子どもの少ない地域では、空き地等のひと目の少ない場所が認知され、保護者の不安感が増すことから、規制が強くなることが明らかになった。また、居住地域の社会的凝集性が高いと認知している保護者は、規制が弱くなることも明らかとなった。

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