都市計画論文集
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転入前後の比較による人口減少自治体の評価に関する研究
千葉県南房総市への転入者を対象としたアンケート調査より
長岡 篤持木 克之籠 義樹
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2019 年 54 巻 3 号 p. 435-440

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抄録

千葉県南房総市へ転入した住民を対象にしたアンケート調査を実施し、自ら望んで転入した住民とやむを得ず転入した住民との比較を通して、転入理由や転入前後の満足度・不満足度の変化、南房総市への定住意向の把握から、同市への評価を明らかにすることを目的とした。その結果、転入元は千葉県内が半数を占め、転入理由は仕事のためと家族のためとともに、千葉県以外からの転入では同市を好んで転入した住民が一定割合いた。転入前後の満足な点と不満・不便な点から、満足な点では自ら望んで転入した住民は、南房総市の地域性に関する項目が増えており、やむを得ず転入した住民は、不満・不便度が大きく上昇していた。満足な点と不満・不便な点から回答者を4グループに分類した結果、満足度が上昇した住民とともに、満足度不満足度の両方が上昇した住民、不満足度が上昇した住民がおり、年代が高いほど不満足度が上昇していた。南房総市に対する要望のテキストマイニング分析から、転入により満足度が上昇した住民は、空き家活用等による転入促進施策を求めており、不満足度が高い住民は、行政サービスの改善や生活利便施設の充実等を求めていることが明らかとなった。

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