都市計画論文集
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空間の残存程度からみた悲劇の記憶の継承メカニズムの考察
ハンセン病施設の保存に着目して
筈谷 友紀子阿部 大輔
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 54 巻 3 号 p. 600-606

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抄録

近年、歴史的資産を巡る評価基準は多様化しており、震災遺構や戦争遺跡などの負の遺産が、記憶の継承を目的に保存されつつある。本研究では悲劇の遺産であるハンセン病施設(重監房・十坪住宅・菊池医療刑務支所)の保存の議論を追うことで、空間の残存程度が悲劇の記憶の継承メカニズムにどのような影響を与えるのか考察した。その結果、①空間の保存をめぐる議論こそが記憶の継承のメカニズムを大きく左右する要因であること②記憶の継承においては、「空間の残存程度」と「議論による価値の共有」がそれぞれ相関関係にあることがわかった。ハンセン病施設においては、空間の保存をめぐる議論の中で、記憶を継承する素地が整えられてきたことが確認できた。

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© 日本都市計画学会
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