2020 年 55 巻 1 号 p. 30-40
観光地の地震・津波の対応体制を検討するためには、観光客の認識を踏まえておく必要がある。そこで本研究では、観光客の地震・津波の危険性と津波避難行動の認識を示すとともに、それらの関係性を明らかにすることを目的とする。調査対象地域は、和歌山県白浜町における白良浜周辺地域であり、来訪している観光客グループを対象としている。分析結果より、観光客の属性別において認識の差異がみられる項目があること、自動車避難の選択の規定要因として、来訪手段が自動車であることとともに、想定する避難場所やまちなかにいることが規定要因になっていること、観光客の地震・津波の危険性の認識と津波避難行動の認識の関連性は低いこと、等が明らかになった。分析結果をもとにして、観光地の津波避難時の課題と対策のあり方について、情報提供と避難誘導体制に着目して検討した。