2020 年 55 巻 3 号 p. 258-265
近年米国では「公共交通の優先度が高い街路」を意味する「Transit Street」が提唱されている。公共交通と歩行者のみが通行可能なトランジットモールと違い、自家用車も通行可能であるが、様々な設備を導入し、自家用車の利便性を低下させることで公共交通や歩行者の有意性を保つものとされている。米国では既に整備ガイドラインの発行も見られる。一方日本にはTransit Streetやそれに近い概念は存在しないものの様々な整備が行われた結果、公共交通が優先されるような街づくり・街路づくりが行われた事例は存在する。そこで本研究は日米の事例を参照し、日本における今後の公共交通優先街路空間整備の指針を示すことを目的とする。このためにまずTransit Streetの歴史・定義・空間要素を示したあと、日本での類似事例として福岡市明治通りの整備経緯・内容を報告する。最後に日米の類似点・共通点を踏まえた日本での公共交通優先街路空間整備の指針を示す。