都市計画論文集
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立地適正化計画の運用初動期における届出・勧告制の実績と課題に関する研究
山口 邦雄
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 55 巻 3 号 p. 354-361

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抄録

本研究は,立適計画策定後の運用初動期での実効性の検証の第一歩として,届出・勧告制の運用実績と成果,課題を明らかにすることを目的として行った。全国の都市へのアンケート調査とケーススタディ都市における詳細分析を行った結果,以下のことが明らかになった。①届出制により立地誘導すべき開発・建築行為の動向把握の実績が積み重なりつつあるが,協議等による成果は少ない。②誘導すべき施設が,本来誘導すべき誘導区域「内」の立地より,誘導区域「外」の立地に多い都市が過半を占めている。③届出・勧告制の導入によるアナウンス効果を認める都市があるが,届出・勧告制自体の評価は低い。④ケーススタディを行った鹿児島市は,積極的に立地変更,計画変更の要請を行っているが,その時点で既に計画が固まっているなどタイミングを逸して成果があげられていない。また,非線引き都市計画区域内の白地部分での居住誘導に関する届出が多く,10戸以上の届出が半数以上と多い。⑤以上のことから,今後は立地誘導の実効性強化が求められ,事前相談制の導入や独自条例での対応の体系化など,法定外の独自の取組みによる実効性強化が検討課題となる。

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