都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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アジア開発途上国における都市の人口減少の現状に関する基礎研究
タイ王国の事例
松行 美帆子キティマ レールッタナウィスット
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キーワード: 人口減少, タイ, 縮小都市
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 55 巻 3 号 p. 545-552

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抄録

本論文では、タイを対象として都市レベルでの人口減少の現状を明らかにすることを目的として研究を行った。まず、タイの県別の人口変化の分析より、タイでは2000年以降、とくにバンコク首都圏近郊県と東部臨海工業地帯、南部の観光リゾート地において人口が増加し、その反面、北部、中部から人口の流出があったことが明らかになった。この人口増減の傾向は、都市レベルでも同様の傾向が見られる。現在、タイの都市の半数以上において、人口が減少しており、都市の人口減少が本格的に進行していることが明らかになった。この都市の人口減少は小規模な自治体だけではなく、中規模な自治体でも進行している。人口減少自治体へのヒアリング調査の結果、人口化粧のとらえ方は自治体により様々であり、問題として認識している自治体もあれば、あまり問題視していない自治体もあった。人口減少により自治体が直面する課題としては、歳入の減少、労働力の不足に伴う外国人労働者への依存による技術の継承の問題、学校の閉鎖などがあげられる。

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© 日本都市計画学会
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