都市計画論文集
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「定住意向」と「転出回避」の2軸分析と転出回避施策の方向性検討に向けた基礎的研究
竹口 祐二鈴木 聡士
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 56 巻 3 号 p. 1045-1052

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抄録

日本の総人口が減少する中,地方部では人口の自然減に加えて社会減も深刻化している。こうした問題に対して,多くの自治体では住民の「定住意向」を向上させるための各種施策を実施しているが,都市部への人口集中・地方部での人口流出は解決に至っていない。そこで本研究では,住みたいかどうかという意思を示す指標である「定住意向」に加えて,住み続けられるかどうかという行動可否を示す指標「転出回避」を新たに提案し,その特性等の検証を行うとともに,「定住意向」と「転出回避」の2軸分析を行うことで,”定住を望むが定住できない住民”の存在を明らかにした。また,年齢や性別等の属性によって転出を避けるために求める要因が異なることを想定して,ライフステージ別の重回帰分析を行い,転出抑制のために求められる施策方向性の効果を比較分析するモデルを構築し,シミュレーション分析を行った。本研究は,これらの分析を踏まえ,地方部の人口社会減と望まぬ転出を抑制するための効果的な施策方向性検討に関する示唆を得ることを目的としたものである。

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